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「振り返り」などの司会を他チームの人にお願いするという選択肢

期初/期末であったり, プロジェクトの終了だったりといった節目に「振り返り」をして, 良かったことや課題をチームで見つけ, 次に向けたアクションを考えるのは非常に重要です.

これまで, 振り返りの司会はチーム内でアサインすることが多かったのですが, 最近社内で「他チームの人に任せる」という選択肢が流行っているので, そのメリットなどを書いてみます.

関係者全員が「振り返り」に集中出来る

これはかなり大きいメリットでした. これまで「振り返り」をするときは, チームの責任者であったり, スクラムマスターが司会をすることが多かったですが, どうしても司会の役割を任された人は, 進行に集中する必要があり, 十分に振り返りに参加できないという事がありました.

特に, プロジェクトの中でリーダー的な役割をしていた人が司会をすることになると, その人が体験してきたこと, 気づいたことをうまく「振り返り」の場で引き出すことが難しくなります. 他チームの人に任せることで, こういった状態を回避しやすくなりました.

「振り返り」を通じて知見の共有が出来る

チームに閉じて「振り返り」をしていると, どうしても出てくるアイデアやアクションは, チームメンバーが持っている知見に閉じてしまいがちです. また, 振り返りのアクティビティも固定化されがちです.

他チームの人に司会をお願いすると, 例えば「○○のような課題があった!」という話題になった際, 「自分のチームでは, そういう時に✕✕のような対策をしました」というように, 他チームの事例をアドバイスしてもらうことができます. また, 逆に司会として参加した他チームの人も, 「このチームの△△はいいな!」というように, 自分のチームに還元できる部分を見つけることができます.

このように, 他チームの人に「振り返り」の司会をお願いすると, 「振り返り」を実施するチームにとっては新しい視点が得られるようになり, 加えてあるチームの「振り返り」の成果が, 他のチームにも繋がっていくことが望めるようになりました.

社外のファシリテーターを招くより, 調整が容易

これまで紹介してきたメリットは, 社外のスクラムマスターなどをファシリテーターとして招聘することでも実現できます. しかし, そうすると費用面であったりスケジュール面であったり, いろいろと考慮するポイントは多くなります.

社内の他チームの人にお願いするのであれば, そういった問題の一部は考慮しなくて良くなります. また, 「振り返り」を実施するにあたっての前提条件(例えばどういうプロジェクトで, どういう人が参加しているのか等...)の共有も, 最低限で済みます.

ありがたい事に, 最近社内の幾つかのチームで「振り返り」を設計し, 司会させてもらう機会があったのですが, だいたい準備に2時間前後, 実施に2〜3時間くらいで, 1営業日あればギリギリいける... くらいの時間で済みました. 外部の方を招聘するのであれば, 守秘義務の締結で普通にガッツリ時間が取られたりするので, 特にサクッと(?)「振り返り」を実施するときは, 社内で司会をアサイン出来ないか検討出来ると良いのではないかと思いました.

ここまでメリットを述べてきましたが, 社内の人に「振り返り」の司会をお願いする際の課題として, 参加者全員が同僚ということもあり, 司会が意識して行動しないと, 参加者全員が「空気を読んでしまう」可能性が否定できない, という点があります. そういった状況を確実に防ぐには, 社外のファシリテーターを呼んで司会を担当してもらった方が良いと思います.

社内の他チームの人に「振り返り」の司会をお願いするのは, これまで述べてきたように多くのメリットがありますが, とはいえ社外のファシリテータを招く, という選択肢も引き続き存在します. そのため, 時と場合によってこれらの選択肢を使い分けることが重要そうです.

まとめ

「振り返り」の司会を他チームの人に任せることによって得られるメリットについてご紹介しました. もしかしたら, こういった取り組みを日常的に実施している会社もたくさんあるかもしれませんが, 自分たちの場合は最近こういう選択肢が増えてきて, それによって良い体験が出来ているので, ご紹介してみた次第です.