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技術的なことや仕事に関することを書いていきます.

カンファレンスの中の人

この記事は, 「はてなエンジニア Advent Calendar 2022」の21日目の記事です.

qiita.com

昨日の記事は id:Windymelt による「Scala記事を書き続けている話」でした.

blog.3qe.us

「裾野がプログラミング言語を支えている」, いい言葉だなと思いました. さすがめるくん. こちらの記事では, 「ブログのエントリを書くことで裾野を広げる」ことに関して書かれています. 一方で, 「イベントやカンファレンスに参加したり, 運営すること」もまた, 別の形の「裾野を広げる」活動ではないかと自分は思っています. このエントリでは「イベントやカンファレンスを運営する」という活動の実態について, お話できたらと思います.

カンファレンスの中の人

プログラミング言語にとって, カンファレンスやイベントは知見の共有/交換, あるいはユーザー同士のディスカッションの機会と言えます. そういう意味で, カンファレンスもまた1つの「裾野を広げる」活動... と言えるでしょう. 一方でカンファレンスやイベントは湧いてきません. どんな小さなイベントにも中の人(スタッフ)がいて, いろいろなことを考えてカンファレンスやイベントを企画し, 運営しています.

自分は, Perlの普及団体であるところのJapan Perl Associationの理事であり, そして2023年3月19日(日曜日)に開催する, 「YAPC::Kyoto 2023」というカンファレンスのコアスタッフ(実行副委員長)をしています.

yapcjapan.org

今日は「YAPC::Kyoto 2023」を題材に, カンファレンスの中の人がどのような活動をしているのか, ご紹介したいと思います. なお, 以下紹介する話題はあくまで「YAPC::Kyoto 2023」と「YAPC::Japan」のものであって, 他のカンファレンスやイベントでは異なった方針, やり方を採用していると思います. その点は予めご留意ください.

カンファレンスの下準備

参加者からすれば, カンファレンスは「当日参加するもの」です. しかし, その中の人からすると, 1年〜半年前からいろいろな準備をしているものです. さくっと洗い出してみると...

  • 開催地決定
  • テーマ決定
  • 会場と日程の選定/決定
  • ゲスト選定
  • ウェブサイト構築(デザイン依頼)
  • カメラマン依頼
  • 予算策定
  • 配信設計
  • スポンサーメニュー決定/募集
  • スポンサーとのコミュニケーション
  • チケット販売
  • 企画立案/決定/運営
  • 広報
  • トーク募集/採択/周知
  • ノベルティ/グッズ発注
  • 備品の発注/発送
  • スタッフ募集
  • タイムライン/台本作成

...という感じでしょうか(もちろんもっと細々としたタスクがあって, 日々一つずつ取り組んでいます).

カンファレンスの中の人, に求められること

こう見ると, 「YAPC::Kyoto 2023」の準備においては, 当然ですが「プログラミング言語(ここの場合, Perl)」のスキルではなく, むしろ事務作業や企画作業のスキルが活きてきます. そのため, スタッフを募集するにあたって, カンファレンスやイベントへの参加経験やプログラミングスキルなどは一切条件にしていません. 実際, エンジニア職種ではないものの, 技術広報的な知見を持っているスタッフは, その視点でスポンサーメニューに意見をくれたりして, 非常に助かっています.

一方で, 逆に言えば, 日頃コード書いたりして仕事をしている自分にとっては, 予算を策定したり, スポンサーとのメールのやり取りをしたりするのは, 余り経験のない仕事なので, そういった意味で良い経験をさせてもらっていると思っています.

カンファレンスの中の人の嬉しいこと/大変なこと

自分は, 今回の「YAPC::Kyoto 2023」以外にも, 過去に開催した「YAPC::Fukuoka 2017 HAKATA」でも実行副委員長の役割を担わせてもらいました. その時の経験で言うと, カンファレンスの中の人をしていて嬉しいことは, やはり「参加者のフィードバック」です. 有意義だった, 良い発表が聞けた, 楽しかった... そういった声を聞いたり, あるいはブログエントリやツイートを見る瞬間が一番嬉しくて, ここまでの苦労が報われる瞬間でもあります.

一方で大変なことは... やはり準備です. 「YAPC::Japan」の場合, スタッフは基本的に手弁当で運営に携わっています(運営専属スタッフはいません). そのため, 基本的には本業に取り組みつつ, なんとか空き時間を作って準備をしなければなりません. 自分の場合, 所属する株式会社はてながJapan Perl Associationの会員企業であることもあって, ある程度Japan Perl Associationや「YAPC::Japan」の運営に業務時間の一部を割いていますが, 当然日々の業務もある訳で, 業務時間をまるまる10割使う訳にはいかず, 少ない時間をうまく使って準備を進めなければなりません(もちろん足りないので, 自分の場合は終業後の時間や休日も使ったりしています).

持続可能なカンファレンスのために

そう考えると, 実は自分たちが参加しているカンファレンスやイベントは, 「あって当然」ではなく, 実は様々な偶然の上に成り立っている... と言えるかもしれません. コアメンバーが抜ける, スポンサーがいなくなる, 参加者が減っていく, そういった理由で, ある日突然開催されなくなってしまう可能性だって十分にあります.

自分が参加している, 楽しみにしているカンファレンスやイベントがなくなって欲しい! ...と思う人はいないでしょう. カンファレンスやイベントの持続可能性を高めるために, 参加者はどのような貢献ができるでしょうか?

まずはやはり, 「参加する, 楽しむ, 発信する」. 当然ですが, 参加者がいなければイベントやカンファレンスは成り立たないので, まずは参加するというのは最大の貢献です. そして, 先程言ったように, カンファレンスやイベントを運営していて嬉しいことは「参加者のフィードバック」なので, 是非ブログエントリを書いたり, ツイートしたりして頂けると嬉しいです. また, そういった活動を通して, 知り合いにイベントやカンファレンスを紹介して次の参加者にしてもらったり, 或いは会社に(スポンサー候補として)紹介して頂く, というのも大変ありがたいです.

そしてもう1つが「中の人になる」. 実際にやってみた経験として, スタッフとしてイベントに関わるのは非常に楽しい経験です(特にエンジニアからすれば, 前述のように日頃あまり経験できないタスクにたくさん取り組めます). Pull Requestを送る, ドキュメントを書く/翻訳するとは少し違った形ではありますが, しかしこれもまた「プログラミング言語やOSSコミュニティへの貢献」であり, 「裾野を広げる」活動である, と思います.

というわけで...

「YAPC::Kyoto 2023」では, 一緒にカンファレンスを作っていくスタッフを募集しています! 現在準備は鋭意進行中ですが, ここからコアスタッフとして参加するのも歓迎ですし, 今後カンファレンスの当日のみ運営に関わるスタッフ(当日スタッフ)も募集することになるでしょう. もし少しでも興味があれば, yapc-kyoto-2020-core@googlegroups.com までメールでご連絡頂けると嬉しいです!

次は...

「はてなエンジニア Advent Calendar 2022」, 明日22日の担当は, 人事部長にして「YAPC::Kyoto 2023」キーノートスピーカーの id:onishi です. 宜しくおねがいします!!!!!