これはPerl Advent Calendar 2025の25日目の記事です。そういうことになっています。
昨日の記事は「Perl 5.42 から新しく入った警告を試してみる」でした。
…というわけで、タイトルにもある通りYAPC::Fukuoka 2025お疲れ様でした(まだちょっと残務がありますが…)。
概ね、運営側としての感想などは先日「ツナギメエフエム」さんに出させていただいた時に話したんですが…。確か、「薄氷の上で全力でシャトルランしたけど、何故か落ちなかった状態」みたいな喩えをしたと思うんですが、まさにそういう感じでした。
まあ、とにかく反省点しかなかったし、このドタバタに巻き込んでしまったコアスタッフやボランティアスタッフの皆様にはお詫びのしようもない状態で、一方でなんとか最後まで走り切れたのは、コアスタッフやボランティアスタッフの皆様が当日臨機応変に動いてくださったおかげです。今回、YAPC::Japanのコアスタッフ経験者を招聘する手を打ったのですが、これがなかったら多分何かが大爆発していたのではないか。それくらいギリギリの綱渡り状態でした。
そのへんの考察というか何というか、忘れないために戒めの気持ちでブログを書いておこうと思いました。
原因
今回、こんなドタバタになってしまったのはとにかく最後に「帳尻をあわせられなかった」、そしてそもそも帳尻をあわせる必要が生じた原因は「タスクの集中が発生した」からで、それは「コア側(papix)に覚悟がなかった」、のかなと思っています。
帳尻をあわせられなかった
前提として、(YAPC::Japan以外のほとんどのカンファレンスもそうだと思いますが…)運営の中枢を担うスタッフ(YAPC::Japanでは「コアスタッフ」と呼んでいます)に専業のスタッフがおらず、みな本業がある中で余暇を使ってカンファレンスの準備をしています(そして交通費・宿泊費以外は完全に手弁当です)。
そうなると、どうしても開催直前に帳尻をあわせる必要が出てくるのですが、今回のYAPC::Fukuoka 2025では参加人数の増加、2日開催といったイベント側の事情も変わりましたし、自分自身も周辺の状況の変化だったり体力の低下(加齢!)だったりがあって、結構詰めきれなかった部分が多数あり、そこが当日時限爆弾のように爆発した(=スタッフに臨機応変に対応いただくことになった)と思います。
YAPC::Kyoto 2023のときは、もうちょっとマシに帳尻をあわせられた…と思うのですが(もちろん万全ではなかったが、今回ほどひどくはなかった…はず!)、とにかく今回のように「最後に帳尻をあわせるやり方」は状況によって捌けない場合があり、持続可能性がない!ということを強く思いました。というかまあ、このへんは前々からわかっていたつもりだったけど、今回自分が圧倒的にやらかしてみて、初めて心の底から痛感したというか…。
「一切帳尻をあわせる必要がない」ように準備をするのはやはり難しいですが、とはいえなるべく減らす手は打てるはず。特に、次のYAPC::Tokyo 2026はYAPC::Japanとしては過去最大級になるので、当然準備期間にやること(タスク)も増えます。これまでのやり方を踏襲すると、恐らくYAPC::Fukuoka 2025以上に帳尻をあわせる必要が生じて、確実に大変なことになってしまいます。
タスクの集中が発生した
ではなぜ毎回毎回帳尻をあわせる必要があるのか…?を考えると、その理由は「タスクの集中が発生した」から。多分これはYAPC::Japanになってから(少なくともコロナ後にリブートしてから)はずっと問題になっているはず。運営側としては問題として認識しているものの、まだ有効な手を打てていない、という状況です。
ここ最近のYAPC::Japanは、毎回会場が変わっています。これによって運営の中枢を担うコアスタッフも、その開催地にお住まいの方を中心にお声がけしています。結果として、毎回新しい施策をやる度に(一部のコアメンバー=JPAの理事を除いて)新たにチームを組成しているような状態になっています。
同じカンファレンスであっても、会場が変われば準備する内容もその前提も大きく変わります(特に、僕は「同じようなカンファレンスを繰り返す」ことに良い印象を持っていないので、毎回新しいことをやりたがるのも良くない)。そもそも参加者として見るカンファレンスとスタッフとして見るカンファレンスは別物で、過去にYAPC::Japanに参加したことがあるからといって、すぐさまコアスタッフとして100%理解して動けるという方はいないと思います(かつて自分がYAPC::Japanのコアスタッフになった時もそうでした。2〜3回継続してコアスタッフとして動いて、なんとかやっていけるかな…?という程度になった記憶があります)。
なので、「全コアスタッフがタスクを奪える(取り組める)ように、タスクを細かく設計・分解する」必要があるのですが、この作業はどうしても複数回YAPC::Japanの運営に携わったことのある一部のコアメンバーしか担う事ができず、そのメンバーに負担が集中してしまいます。 これについては、「実行委員」というJPAの理事ではないがYAPC::Japanの運営に中長期的に関わる(関わっていただく)役職をJPAに設けて対応しようとしていますが、その成果が出るまではもうちょっと時間が必要そうです。
コア側(papix)に覚悟がなかった
ただ、そもそも「タスクを細かく設計・分割できた」としても、それをコアスタッフにちゃんと分配できたか?というとそれも怪しく…。というのも、前述の通りYAPC::Japanのコアスタッフは基本的に手弁当で、業務や私事の間に準備に取り組んでいただく必要があり、そう考えるとあまりタスクを渡したくない、という気持ちは正直あります(依頼することに精神的負担を感じて、遠慮してしまう)。
人を増やして人海戦術で乗り切る、という作戦もありますが、これはこれで人が増えれば増えるほどコミュニケーションコストが増加して、別の精神的負担(調整等)が発生しそうです。
これが仕事であれば、自分も相手も会社からお金をもらっているので声をかけやすいのですが、YAPC::Japanのように善意に基づいた手弁当(=報酬なし)だと、どうしてもそのへんのやり取りが難しい。結果として、ある程度は自分でボールを持って…となると、前述の「タスクを細かく設計・分解する」もできず、更にタスクがコアメンバーに集中して…。という悪循環になっている気がします。
これはもう、自分に覚悟がなかったのが原因で、タスクを依頼することによって生じる精神的負担としっかり向き合う必要がありました。例えば、自分が「タスクを細かく設計・分解する」に集中すると、コアスタッフからすると「papixはタスク割り振ってくるけど、自分は何もしないじゃん」という風に見えるかもしれません(事実ではある)。これまでのように「そう思われるのは嫌だな」、で逃げるのではなく、「それが自分の仕事だから!」と、覚悟を持ってやり切る必要があると思います。
あとは、そもそも「依頼できる」関係性をちゃんと構築する、というところにもう少し時間とコストを割いても良かったと思います。思えば、前回のYAPC::Fukuoka 2017のときは毎月(!?)福岡に行って定例ミーティングをしていたのですが、コロナ禍以降は「意外と何とかなるな」でリモートで定例ミーティングを行うようになっています。従来のように毎月現地に行くのは難しいとしても、もう少し高頻度にコアスタッフが集まれる機会を作ってもいいのかな、と思っています(YAPC::Fukuoka 2025では何度か会場下見という体で福岡に行きましたが、東京と福岡でコアスタッフが分散していたこともあって、事前に全員集まって交流する、という場を作ることはできませんでした。最初に or 忙しさが増してくる中盤に、一度みんなで集まるという機会が作れれば少し状況は変わっていたかもしれません)。
今後の展望
なんかこういう話をしていると、「papix、責任取ってJPA辞めるのか?もうYAPC::Japanやらないのか?」という雰囲気もありますが、今のところそのつもりは一切ないです。少なくとも、こういった問題を解決して、持続可能性を高めるまでは退けないと思っています。個人的には一生YAPC::Japanしていきたいものの、一方で業務事情、家庭事情、体調事情等で、JPAやYAPC::Japanに関われなくなる時が来る可能性は0ではないので、そうなってもいいように準備しておくのは必須です。その覚悟(?)を表すべく、このブログをしたためた次第です。
幸い、次のYAPC::Tokyo 2026では
id:karupanerura 御大がこれらの問題の解決に向けて動いてくださってるので、これまでのように、これからも(ちょっとずつかもしれませんが…)状況は改善していくと思います(できなかったら多分あと5年くらいでYAPC::Japanは継続不能になると思う。現時点でトラックナンバー1だし…)。自分も、JPAの一員として、そしてYAPC::Japanのメンバーとして、その力になりたいと思っています。
良かったこと
…なんかネガティブな話題で終わるのも悲しいので、個人的に良かったなということを書いておきます。
- 大きな問題なく終わることができた
- もちろん前述の通り運営準備がハチャメチャで、細かい問題は大量に発生しましたが…。コアスタッフ・ボランティアスタッフの尽力で概ね対応でき、またイベントを中止するような大きな問題も発生しませんでした。参加者の皆様のご協力ありがとうございました。
- 会場の福岡工業大学が大変良かった
- あの規模の会場をあの価格で借りれるのはすごい!
- 福岡工業大学の管財課など、関係各所の皆様の対応が神だった。正直、下手なセミナー会場よりも迅速・丁寧に対応いただけて、会場側との折衝について不安になるシーンがなかったです。福岡でカンファレンスやるなら福工大は選択肢に入れる価値あると思います。
- 懇親会にビアキチ呼べた、結果としてpapix meltdownしなかった
- ほぼ個人の趣味でビアキチを呼べたのも良かった。福岡でやるなら… ビアキチを呼びてえよな…。というほぼ自分のワガママで進めたけど、ビール飲める方は満足してくださったようでよかった。
- ビアキチのビール、好評ですぐなくなって、「このあとに瓶ビール飲むのもな…」と思ってアルコールを控えた結果、過去2回発生していたpapix meltdown(スタッフ懇親会での寝落ち)が発生しなかったのもよかった。
- エンディングムービーが良かった
- 「なんか… エンディングムービーがあるといいよネ…?」という最悪な要件定義からあのエンディングムービーが出てきてびっくりした。正直初見で泣いた。
- 学生旅費支援、U29支援など各種施策を継続できた
- これについては自分がYAPC::Japanに関わっている間はなるべく継続します。
- なんだかんだ楽しかった!
- とにかく今回は大変だったし、反省点しかないけど、懇親会とかブログとかで「楽しかった」って言ってもらえると… なんか楽しくなるんだよね…。
- これがあるからカンファレンス運営はやめらんねえ!(個人の感想です)
…というわけで、来年の11月に東京ビックサイトでお会いしましょう!