Masteries

技術的なことや仕事に関することを書いていきます.

自分の取扱説明書

先日, 前職の同僚(同期入社)であるところの id:shirakiya とランチする機会がありました. 数年ぶりくらいの再会だったのでアレコレ話していたのですが, その時に次のような会話をしました:

「仕事は大変そうだけれど, まだTwitterでもそんなに荒れていないし, まだまだ大丈夫そうだねぇ」

自分自身, Twitterについてはかなり無意識にツイートしているので, それについて深く分析したり, 考察したり, 振り返ったりすることは, これまでほとんど(一切)ありませんでした. しかし, それを第三者が見ると, 「平和そう」とか, 「何か危険そう...?」というのが, 自然と(勝手に?)見えてくるのかな〜と思いました.

そう考えた時に, 前職での経験なども踏まえて, 自分と会社の関係値を数値化(可視化?)しておいて, 定期的に(ブログのエントリや自分自身のツイートなどを使って)ある程度客観的に評価出来るようにしておくと, 今現在の自分自身の様子を正確に把握し, また伝えることができ, また自分自身の次のアクションを検討する際にも役立つのでは? と思いました. ...というわけで, 「自分の取扱説明書」として, 自分と会社の関係値を5段階で表してみることにしました. 基本的にはレベルが上がれば上がるほど, 転職リスクが指数関数的に高まっていくイメージです.

自分の取扱説明書 ─ 会社との関係値の5段階評価

  • Lv1. 盲目期
  • Lv2. 行動期
  • Lv3. 怠惰期
  • Lv4. 幻滅期
  • Lv5. 転職期

盲目期

入社したばかりだったり, あるいは関心の深い新しいプロジェクトへのアサインが決まったりして, とにかく猪突猛進に, ほぼ100%ポジティブな気持ちでやっていけている時期. 良くも悪くも視野が狭まっていて, そのためかネガティブな要素に気づきにくく, 常にポジティブシンキングになっている時期.

行動期

盲目期における気持ちの高ぶりがある程度落ち着いてきて, また視野が広がった結果として, 社内外のいろいろな関係性, 問題点などが見えるようになってくる時期. 行動期は, このようにして気になってきた点に対して, 積極的に行動を取っていける時期でもある. 問題点を認識したこと(存在すること)に対してはネガティブだが, とはいえまだポジティブな気持ちの方が上回って, アクションを起こすために行動する元気が十分にある時期.

怠惰期

何かしらの要因, 例えば行動期に実施したアクションがうまくいかなかったり, 協力を得ることが出来なくなったりして, ポジティブな気持ちよりもネガティブな気持ちが上回ってしまった時期. 業務は普通にこなすが, 「行動期」のような, プラスアルファのアクションを実施することは極めて少なくなる.

幻滅期

怠惰期がいよいよ極まり, 転職一歩手前だが最後の一歩で踏みとどまっている時期. 業務も徐々に投げやりになっていき, Twitterや, あるいはプライベートの飲み会の場では結構荒れたりしている.

転職期

何かしらの要因でもはや最後の一歩も踏みとどまれず, 転職活動を開始する段階. この段階になると, 逆に社内外での発言や行動が非常に穏やかになる(転職活動中に目立ちたくないため).

考察とまとめ

これを書きながら振り返ってみると, 今の自分はだいたいLv2「行動期」の真ん中に近いところ, 数値にすると2.3〜2.4くらいの位置にいるのかな... と思います. はてなに入社して, HTTPS化など大きな仕事を成し遂げて一息ついて, 更にグレードが上ったりして視野が広がった結果, いろいろな課題や問題点が見えてきて, それについてアクションを始めた時期が今... という認識です. 今後, そのアクションの幾つかがうまく次に繋がっていけば, 程よくポジティブにアクションを続けられる今の状態を継続出来そうですし, 逆にそれが様々な要因で頓挫し続ければ, ネガティブな状態が強くなってLv3の倦怠期に近づいていきそう... かもしれませんね.

個人的な考えではあるのですが, 会社というものは異なる特技, バックグラウンドを持った社員が集まって成り立っていることもあって, 組織の中で大なり小なり, 問題や課題を抱えていて然るべきと思っています(少人数であれば問題や課題も生じにくいでしょうし, 加えて解決も容易なのでしょうが...). ...というよりは, 会社において問題や課題がないということは, 逆に言えばこれ以上改善したり改良したりするポイントがない, ということにも繋がるので, それはそれで逆に望ましくないように思っています.

そういった考えを盛り込むと, 問題や課題を認識し始めるLv2「行動期」という段階は, どんな会社に所属したとしてもいずれは到達することになりそうで, そこから考えるとLv1〜Lv3辺りをふわふわと推移している状態が, 自分にとって精神衛生的に問題なく働けている... という事になるのではないかと思いました. 更に言えば, 課題や問題が見つかった上でそれらに対してポジティブに行動していける, Lv2の前半(つまり, 丁度今くらい)が, トータルで見て一番バリューを発揮できる時期(脂が乗っている, 勢いに乗っている, 的な...?)と言えるかもしれません.

自分自身を客観的に眺める... というのは重要と思いつつ, 難しいし指標も作りにくいものだと思うので, まずはこの指標をうまく使えるか(うまく自分の様子を示すものとして使えるか)... について, 定点観測をしていきたいと思っています.

Devel::KYTProfに送ったパッチが取り込まれました

metacpan.org

Devel::KYTProfで, Furl::HTTPのProfilerが一部環境下で正しく動かない(warningメッセージが出る)のを解決するPull Requestを送ったところマージしていただき, 0.9993としてリリースされました.

github.com

これまでのFurl::HTTPのProfilerは, 下記のような使い方では正しく動作しますが...

my $furl = Furl->new;

my $res = $furl->get('https://papix.net');

下記のように, requestを使った場合はうまく処理出来ず, warningメッセージが出るようになっていました.

my $furl = Furl->new;


my $res = $furl->request(
    method => 'GET',
    scheme => 'https',
    host   => 'papix.net',
);

0.9993以降では, 後者のように記述しても正しくプロファイルが実施され, またwarningメッセージも出ないようになっています.

Devel::KYTProf::Profiler::AWS::CLIWrapperをリリースしました

Devel::KYTProfに対するAWS::CLIWrapper用のプロファイラー, Devel::KYTProf::Profiler::AWS::CLIWrapperをリリースしました.

metacpan.org

最近行われたDevel::KYTProfの大改良で, 独自のプロファイラを定義出来るようになったので, AWS::CLIWrapper用のプロファイラを用意してみました. Devel::KYTProfの変更については, 下記の id:Songmu さんのエントリを参照しましょう.

songmu.jp

とりあえず, かなりシンプルな実装になっていて, 現状では"AWSのサービスに対して(AWS::CLIWrapper経由で)どのような操作を実施したか"のみをプロファイリングするようにしています. 今後の展望としては, 各種操作に対するオプション(パラメータ)なども表示出来るようにしていけると, 更に便利に使うことができそうですね.

また, Deve::KYTProf + Devel::KYTProf::Profiler::AWS::CLIWrapperに, id:sfujiwara さんの AWS::XRay を組み合わせれば, PerlのバックエンドサーバからAWS::CLIWrapperを使って, AWSの操作にどれくらい時間がかかっているか... という部分をトレースすることが出来るようになります.

この辺りの話題を, 今週〜来週にかけて開催する「Hatena Engineer Seminar」で話そうと思っているので, 興味のある方はぜひご参加ください(宣伝).

hatena.connpass.com

hatena.connpass.com

「失敗の本質」読んだ

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

  • 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1991/08/01
  • メディア: 文庫
  • 購入: 55人 クリック: 1,360回
  • この商品を含むブログ (304件) を見る

id:shimobayashi さんが下記のブログエントリで紹介していて, 「面白そう!」と思って買って読んでました.

shimobayashi.hatenablog.com

この本は, 第二次世界大戦前後における日本軍の6つの戦い, つまりノモンハン事件, ミッドウェー海戦, ガダルカナル島の戦い, インパール作戦, レイテ沖海戦, そして沖縄の戦いという, 6つの戦いを通して, 日本軍がそれぞれの戦いで敗北に至った理由を, 組織論の観点で考察している本です. 戦史の研究家と組織論の研究家が協力して作り上げた本なので, 論ずるにあたっての前提となる, それぞれの戦いの経緯や経過なども非常に丁寧に書かれていて, そういう意味では「組織論」の本としては極めて異色と言えるかもしれません. 歴史が好きな人にとってはかなりとっつきやすい(?)組織論の本, と言えるかもしれません.

本書は, 大きく分けて3つの章によって構成されています. まず1章はケーススタディとして, 先に挙げた6つの戦いにおいて, その前提(どのような経緯があり, それを踏まえてどのような作戦が立案されたか)や実際の戦における経緯(どのような出来事があり, どのような判断が成されたか)が紹介されます. その中で, 日本が敗北に至った(あるいは, 敗北による影響をより強めてしまった)日本軍の問題点が取り上げられていきます.

先も述べたように, 戦史の研究家が関わっているということもあって, それぞれのケーススタディは経緯や経過が非常に丁寧に綴られていると感じました. とはいえ, ケーススタディにおける戦史の解説は, あくまで考察のための一要素なので, 各々の戦いの"全ての経過"が紹介されている訳ではありません. なので, (そんな人はいないと思いますが...)本書を戦史の本として読むと, 非常に不完全燃焼という感想になってしまいそうです.

2章と3章は, これらのケーススタディを元にして, それぞれ「日本軍の失敗の本質は何か」, 「その失敗の本質から何を教訓として得ることが出来るか」について解説されています. 特に印象深かったところは「分化」と「統合」について述べている部分で, 引用すると,

組織の環境適応理論によれば、ダイナミックな環境に有効に適応している組織は、組織内の機能をより分化させると同時に、より強力な統合を達成しなければならない。つまり、「分化(differentiation)」と「統合(integration)」という相反する関係にある状態を同時に極大化している組織が、環境適応にすぐれているということである。「分化」というのは、上述の引用が示唆しているように、環境特性によって、組織の構成員の目標、時間、人間関係についての態度やものの見方が違ってくるということである。

組織が大きくなると, 機動力を維持するためにも, うまく「分化」していくことを考えがちです. しかし, それだけでは不十分であり, 「分化」はもちろん実施した上で, より強力な「統合」も成し遂げなければならない... と書かれています. この視点は自分自身なかったので非常に参考になりました. また, 日本軍と米軍の組織構造の違い, すなわち陸軍や海軍といった各軍を統括する組織の権限や役割についての考察も印象深かったです.

この辺りを含めて, 最近感じていた現職の組織的な課題を, うまく言語化している部分が多々あって, かなり勉強になったと思います. 一方で, 本書では「失敗の本質の考察と教訓」について述べるにとどまっていて, そこから今現在日々を過ごしている組織に対して, どのようにアクションを取っていくことができるか... という部分は取り上げられていません. とはいえ, 組織の問題点を丁寧に解説している本書は, 自分たちの組織の問題点を言語化していくにあたっての道標になってくれる事は間違いないと思います. そして, 問題点を言語化することができれば, その解決に向かってかなり前進することが出来た... と言えるのではないでしょうか. 所属しているチームや組織に対して, 何かうまく進めていない感じもするけれど, その原因をうまく表現できない... そういった時に読んでみるとたいへん気づきのある, 良い本だと思います.

次は「人を動かす」を読む予定です.

「Hatena Engineer Meetup」を沖縄で開催することになったので, 登壇します!!!

hatena.connpass.com

はてなでは, 「Hatena Engineer Seminar」というエンジニア向けのイベントを開催しているのですが, これまではオフィスがある東京や京都で開催することがほとんどでした 今回, 「それ以外の場所でもやってみたい!!!」ということで, 「Hatena Engineer Meetup」という名前のもと, 沖縄で開催することになりました!!! 自分とSREの id:cohalz が沖縄に行き, はてなの紹介や技術にまつわるトークなどをします.

学生の方はもちろん, はてなやはてなのサービスに興味がある社会人の方も大歓迎です. 諸事情により日曜日開催ではあるのですが, この機会に是非沖縄の皆さんと交流できればと思っています. 是非ご参加ください!!!