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「共有会」, 「連絡会」の功罪, 或いはグループを横断した情報共有について

複数の事業(部署)を持つ会社, 或いは複数のチームを持つ部署において, 部署やチームといった"グループ"を横断した情報共有は, 非常に重要です.

特にエンジニア組織の場合, あるグループの課題を解決するソリューションを別のグループが持っていたり, 或いはあるグループの知見を別のグループが欲しがっていたりするものです. そのため, 会社が複数の組織を持つ利点, そして部署が複数のチームを持つ利点というのは, 適切な規模のグループで結果を出し, そこから得た成果物や知見をグループを横断して展開できるところにある, と思っています.

...とはいえ, この「グループを横断した情報共有」というのは, 言葉にすれば簡単ですし, みんな「そうあるべきだ!」と思うものだと思いますが, 実際にそれを実施していくのは簡単ではありません. 人間どうしても忙しくなると「目の前」, つまり「自分が所属しているグループ」のことで精一杯で, 他のグループのことを意識して動けなかったりするものです.

なので, 会社としては, 「グループを横断した情報共有が"当たり前"」という環境をつくり, それを部署や会社の文化にしていく必要があるのではないでしょうか. ここは賛否あると思いますが, 自分は「部署やチームの文化」の力は大きいと思っています. 「それ(今回の場合, "グループを横断した情報共有")っていいよね, 自分たちの強みだよね!」とみんなが認め, 明文化されて文化になると, 部署やチームにとってそういった行動をすることが当たり前になりますし, 新しく入ってきたメンバーもその姿を見て, 自然と真似ていくようになるのでは? と思っています.

ところで, 「グループを横断した情報共有」の一環として, 「共有会」や「連絡会」と呼ばれる集会を実施している会社やチームは多いのではないでしょうか. 開催間隔は会社やチームによってまちまちでしょうが, とにかく定期的に会社やチームの複数グループのメンバーを集めて, 最近の成果や近況報告などを行うといった取り組みです.

こういった「共有会」や「連絡会」という取り組みは, 短期的に見れば「グループを横断した情報共有」という成果に非常に貢献します. とはいえ, その「短期的な成果」だけで満足していいのでしょうか?

今回, この記事で伝えたいのは, 「共有会」や「連絡会」は, 「その先」を見据えて設計しなければ, 意味がないとまでは言いませんが, 効果は半減してしまうのでは? ということです. そして, ここでの「その先」というのは, 先ほど挙げた「グループを横断した情報共有が"当たり前"」の状況を作ることです.

もし, 「グループを横断した情報共有が"当たり前"」の状況を作るという未来を見据えず, 単に「グループを横断した情報共有ができる場所を作ろう!」という観点だけで, 「共有会」や「連絡会」という取り組みを実施すると, 大抵の場合, 「やったことは共有会で報告しておけばいいよね」とか, 「あー, ちょっとこういう問題あったけど, 明日連絡会だし, そこで連絡すればいいや」みたいになっていくのではないか? と思っています.

そうならないように, 会社の首脳陣(社長やCTO等)や, チームのリーダーは, 習慣とか, 文化とか, そういったレイヤーで「グループを横断した情報共有」について考え, 「共有会」や「連絡会」という実際の施策は, その習慣や文化の定着を推進する為の場所として設計しなければならないのではないでしょうか.

...まあ, この辺りも「言うは易し行うは難し」であり, 「具体的にどうすればいいんだよ!」と問われると「わからん...」という感じです. 自分は会社の首脳陣でも, チームのリーダーでもありませんが, この辺り文章化して, 頭の片隅においておけば, いつか良い考えが浮かぶんじゃないかなー, という気持ちでこの文章を書いた次第です.

この辺り, 各社いろいろな考えや取り組みがあると思いますので, Twitterやはてブのコメントで教えて頂けると幸いです. よろしくお願いします.